薪ストーブは細かい鋳物部品の組み合わせや連結で薪ストーブ本体となっているのが一般的です。
また機種によっては可動する部分があり複雑な構造となっている場合もありますので専門的な知識と豊富な経験がメンテナンスには必要不可欠となります。
しかし、薪ストーブを日々ご使用になるお客様自身でもご使用中やシーズンオフにちょっとしたメンテナンスを行っておけば薪ストーブ本体の寿命を長くすることも可能となります。
そして何よりも今まで以上に愛着が増すに違いありません。
以下の7項目について是非ご自身でメンテナンスを行ってみてください。
■ 日々のメンテナンス
1. ガラスはいつもピカピカに。

薪ストーブのガラスはいつもピカピカでクリーンな状態でありたいものです。
スス汚れが落ちにくくなる前に専用のガラスクリーナーで汚れを拭き取りましょう。
黒くこびりついたタール状の汚れは落ちにくいですが、そんな時は慌てずガラス面にティッシュペーパーをあてて、その上からガラスクリーナーを付けてそのまましばらく放っておきましょう。
※ガラスに傷が付いてしまうので、決して研磨剤の入ったクリーナーを使用したり、鋭利なモノで擦ったりしないようにしましょう。
スス汚れがティッシュペーパーに充分に染み込んだら汚れは取れやすくなります。
2. 薪ストーブ表面のお手入れを。

特に黒塗装の薪ストーブの天板は日々の使用でサビが発生しやすい部分です。
サビの進行を最小限に抑えるためにもワイヤーブラシなどでこすってサビを落とし、乾いた布でほこりや汚れを落としてから専用の耐熱スプレーで塗装(またはストーブポリッシュで塗布)しましょう。見た目も新品同様に甦ります。
※ホーロー仕上げの薪ストーブの場合は決してワイヤーブラシなどでこすったりせず、専用のガラスクリーナーなどを使って柔らかい乾いた布で汚れを拭き取ってください。
3. 各部のネジのチェックを。

薪ストーブは様々な部品によって構成されていて、その連結には耐火セメントの他にボルトやネジ類が使用されています。
特にボルトやネジ類で固定されている部品は消耗や劣化などで交換の必要性が出てくる場合が多いのですがそれが何年間もきつく締まったままだと熱による焼きつきやサビによる固着で外せなくなってしまいます。
薪ストーブの場合では当然、高温な状況下になりますので定期的なチェックが必要となります。
薪ストーブに火が入っていない状態で、ボルトやネジをいったん緩めてもう一度締め直してあげましょう(締め過ぎ注意です)。
このちょっとした作業を行うだけでその部品の寿命を長くするだけでなく、今後のメンテナンスにも大きく関わってきますので是非、実践してみてください。
またレバーのノブなども緩みやすいのでここも定期的に増し締めしてあげましょう。
※ボルトやネジを緩める際にきつくて緩まない場合は無理に緩めないで下さい。破損の原因となります。
4. シーズン中は炉内の灰はそのままに。
炉床は熱によって負荷がかかりやすい部分なので、炉内の灰は2~3㎝ほど溜めた状態で使用するのが理想的です。
また灰が常に敷き詰められている状態だと蓄熱力もアップし、薪の火持ちも良くなります。
毎日炉内の灰をきれいに取り除く必要は一切なく、むしろ正面ドアを開けた時にこぼれそうな分だけスコップですくって灰取バケツに移してあげてください。
尚、純粋な薪からできた灰はガーデニングなどの肥料として有効利用できます。
■ シーズンオフのメンテナンス
5. シーズンオフには必ず灰の処理をしましょう。

薪ストーブは鋳物製品なのでサビの発生は禁物です。
特に梅雨時などの湿気や閉め切った別荘では注意が必要です。
薪ストーブシーズンが終わったら早い時期に刷毛などでストーブ炉内や灰受け皿に溜まった灰を取り除きましょう。
6. 各ドアの気密チェックを。

薪ストーブの多くは気密式のストーブです。
本来、気密式の薪ストーブは燃焼に必要とする空気以外に空気が入り込むと高温燃焼を招き、薪ストーブの寿命を縮めてしまいます。
特に正面ドアや灰受けドアの気密が保たれていないことによる過燃焼は禁物です。
各ドアには気密を保つためのファイバーロープが取り付けられていますが、弾力性がなく硬くなっている場合やほつれ等の劣化が見られる場合には交換が必要となります。
チェック方法としてはまず薄い紙をドアに挟んだ状態で閉めます。そして紙を引っ張り、楽に取れるようであれば密閉の度合いが不十分となります。
その場合はファイバーロープの交換やドアの調整が必要となりますのでシーズンを迎える前には必ずチェックをしましょう。
7. 可動部のあるストーブはなるべくレバーを全開にして負荷をかけないように。
バイパス・ダンパーや火力調節レバーのある薪ストーブはシーズンオフには全て全開のままにして薪ストーブ本体や煙突内の空気を対流させてあげましょう。
長期間閉めた状態では灰の処理同様に炉内に湿気がこもりやすくなり、サビが発生しやすくなります。
またダンパーがロック式の薪ストーブでは、長期間ロックして閉めた状態にしておくと、サビの発生に加えて可動部に負荷がかかってしまいスムーズな開閉が出来なくなる可能性がありますのでさらに注意が必要です。